どうもみなさんこんにちは、Flybirdです。
行政書士試験の試験範囲には「地方自治法」が含まれます。出題数は3問程度とそこまで多くないのにもかかわらず、条文数が多いため、地方自治法を苦手にする方は多いのではないでしょうか。
私は2020年の行政書士試験に独学で合格できましたが、地方自治法は苦手でした。
そんな私が、本記事で「地方自治法」の対策方法(捨てる?捨てない?など)・おすすめのテキストを解説します。地方自治法を苦手とする受験生の参考になりますと幸いです。
地方自治法が難しい理由
地方自治法は、法令科目の中で難易度が高いと考えています。その理由は以下の2つと考えられます。
①出題数のわりに出題範囲が広い
地方自治法の条文は全部で299条と多いです。ある程度試験で出題されやすい分野は存在しますが、基本的には全体から満遍なく出題されるので、強弱をつけて勉強することも難しいです。確実に全問正解を目指すならほぼすべての条文の暗記が必要になります。
出題数のわりに出題範囲が広く、単純にコスパが悪いです。
②他試験との兼ね合い
私は、行政書士試験を受ける前は司法試験の勉強をしていました。司法試験の試験科目に行政法が含まれていたため、ある程度行政法に関する知識はありました。しかし、司法試験の行政法の試験範囲に「地方自治法」は含まれておらず、地方自治法に関する知識はゼロでした。
試験範囲に行政法が含まれている場合でも、地方自治法が正面から出題される試験は少ないと思います。そのため、テキストや参考書も揃っておらず、勉強自体が難しいです。
地方自治法の勉強度合いは、人により異なる。
行政書士試験は全体の6割(180点/300点)得点できれば合格できる試験です。そのため、あらかじめ「勉強する科目」と「捨て科目」を事前に決めておいても問題ありません。
その中で、地方自治法を3問中何問正解するかを目標とするかで、勉強の度合いが変わります。
- 2~3問正解したい方 → 全範囲を満遍なく学習する。
- 1問は正解したい方 → 頻出分野に絞って学習する。
- 最悪0問でよい方 → 捨てる。
①〜③のどの勉強方針を選ぶかは、他科目の勉強度合いを含めて考えてみて下さい。
私は、「一般知識」の学習を捨てていたので、地方自治法は①の方針を選び、全範囲をきちんと学習しました。結果、本番で地方自治法は3問全て得点した結果、合格出来ました。
もちろん、一般知識や商法などをがっつり勉強している方は、地方自治法は捨ててもOKです。地方自治法が0点でも、合格することは可能です。
地方自治法の勉強方針
地方自治法の勉強を捨てずに、1〜3問程度の正解を目指す場合でも、人によって勉強方針は異なります。
以下、「1問は正解したい方」と「2問〜3問正解したい方」に分けて、勉強方針を解説します。
1問は正解したい方:頻出分野に絞って学習
過去5年分(平成30年~令和2年度試験)の地方自治法の出題範囲をまとめたものが以下です。
出題年 | 平成30年 | 令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 |
---|---|---|---|---|---|
第22問 | 特別区 | 議会 | 住民 | 公の施設 | 条例の効力 |
第23問 | 条例と規則 | 公の施設 | 自治事務と 法定受託事務 | 適用される法令 | 住民訴訟 |
第24問 | 自治事務と 法定受託事務 | 監査委員 | 住民訴訟 | 長と議会 | 都道府県の事務 (自治事務と法定受託事務) |
頻出分野は赤字にて記載した範囲です。
- 都道府県の事務(自治事務と法定受託事務)
- 住民訴訟
- 公の施設
上記範囲から、毎年1問〜2問の出題があります。最低でも頻出事項を勉強しておけば、3問中1問は取れる可能性が高いです。
逆に言えば、令和4年度に出題された「自治事務と法定受託事務」・「住民訴訟」は、令和5年度試験では出題されない可能性が高いので、思い切って捨ててしまっても大丈夫です。(最低限、条文を簡単に確認しておく程度に留めましょう。)
満点を狙う方:全範囲を満遍なく学習
地方自治法で満点を目指す場合、全ての範囲を学習する必要があります。
もっとも、地方自治法は範囲が広いこともあり、条文自体の細かな知識が試験で問われることは少ないです。条文の丸暗記は不要ですが、地方自治法分野では、法全体の横断的な知識を問う問題が出題されることが多いです。
横断的な知識を問う問題の例として、平成30年度の「問題23」をみてみましょう。
問題23 地方公共団体の定める条例と規則に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 普通地方公共団体は、その事務に関し、条例を制定し、それに違反した者について、懲役などの刑罰の規定を設けることができる。
イ 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務に関し、規則を制定し、それに違反した者について、罰金などの刑罰の規定を設けることができる。
ウ 普通地方公共団体の長は、普通地方公共団体の議会による条例の制定に関する議決について、再議に付すことができる。
エ 普通地方公共団体は、公の施設の設置およびその管理に関する事項につき、その長の定める規則でこれを定めなければならない。
オ 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の条例の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する。
1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・オ
4 ウ・エ
5 エ・オ※ 正解は「2」
行政書士試験センター 過去問(平成30年)問題23
問題23では、「条例と規則(と法律)」という点に絞って、「住民」「条例及び規則」「公の施設」などの範囲から、横断的な知識が問われました。
この問題に解答するには、「誰」が「どのような定め」を設けることができるか、を押さえておく必要があります。根拠条文は、以下5つの条文です。
- 第十四条 普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。
② 普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。
③ 普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。 - 第十五条 普通地方公共団体の長は、法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができる。
② 普通地方公共団体の長は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、普通地方公共団体の規則中に、規則に違反した者に対し、五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。 - 第百七十六条 普通地方公共団体の議会の議決について異議があるときは、当該普通地方公共団体の長は、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、その議決の日(条例の制定若しくは改廃又は予算に関する議決については、その送付を受けた日)から十日以内に理由を示してこれを再議に付することができる。
② 前項の規定による議会の議決が再議に付された議決と同じ議決であるときは、その議決は、確定する。
③ 前項の規定による議決のうち条例の制定若しくは改廃又は予算に関するものについては、出席議員の三分の二以上の者の同意がなければならない。 - 第二百四十四条の二 普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない。
- 第十一条 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する。
日頃から、「請求主体」、「請求対象」等の違いを比較しつつ学習しておくと、この横断的知識問題にも対応できるようになります。
参考:私は「参考書」は使わず、「条文」をただただ詰め込みました。
私は地方自治法の知識はゼロの状態から勉強を開始しましたが、テキスト・参考書は使いませんでした。
地方自治法の出題範囲は広い反面、細かい知識は問われないため、わざわざテキスト・参考書を購入する必要はないと思います。
おすすめのテキスト
もっとも、条文学習だけだと不安な方は、テキストを購入の上で学習しましょう。以下、おすすめのテキストを3つ挙げておきます(3つのうちなら、どれでもオススメです。)
選定基準ですが、条文集が付いているテキストを挙げさせて頂きました。条文自体をきちんと確認することが大事です。
まず目標点・戦略を決め、自分なりの勉強計画を立てよう。
はい、いかがでしたでしょうか。
結論としては、地方自治法は、勉強してもしなくても合格することは可能です。
本番での目標配点を決めたうえで、どのくらい対策するかを決めましょう!
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