【建設業経理士】意味ない資格?メリットや試験概要を解説

どうもみなさんこんにちは、Flybirdです。

建設業経理検定は知名度が低く、受験者も少ないので、試験に合格する意味はあるの?と疑問に思っていませんか。

確かに、建設業界以外ではあまり役に立ちませんが、少なくとも建設業界へ就職・転職を希望する場合には、建設業経理検定に合格する価値は大いにあります

私は以前、建設業界の会社に勤務していましたが、建設業経理士1級に合格し、メリットを感じました。

そこで、本記事にて建設業経理検定概要・取得したときの具体的なメリットを解説します。建設業経理検定の受験を検討している方にとって参考となるよう作成しておりますので、ぜひご覧ください。

目次

建設業経理検定(建設業経理士)とは?

建設業経理検定とは、「建設業振興基金」という一般財団法人が実施する検定試験です。
建設業法施行規則第18の3に規定する国土交通大臣登録経理試験でもあります。

一般的には「建設業経理士試験」と呼ばれることが多いですが、正式名称は「建設業経理検定」です。

簡単に言ってしまうと、日商簿記試験の建設業界ver.です。簿記系の資格であることに変わりはありません。

建設業界では、製造業とは異なる特有の勘定項目(ex.完成工事高、完成工事未収入金)を使用します。この建設業界で使用される勘定項目や、その仕訳を習得することが試験の目的です。

取得のメリット

建設業界には、「経営事項審査」というものがあります。

「経営事項審査」とは、公共性のある施設又は工作物に関する建設工事(以下「公共工事」という。)を発注者から直接請け負おうとする建設業者(建設業法第3条第1項の許可を受けた者をいう。)が必ず受けなければならない審査です。

国土交通省

この、経営事項審査を受けなければ、国や地方公共団体などから公共工事を受けることが出来ません。このことから、特に大企業では、経営事項審査を受けることはほぼ必須になっています。

下記の通り、企業の様々な指標が「審査」されます。

公共工事の各発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行うこととされています。この資格審査にあたっては、欠格要件に該当しないかを審査したうえで、「客観的事項」と「発注者別評価」の審査結果を点数化して順位・格付けが行われます。このうちの「客観的事項」にあたる審査が「経営事項審査」です。

国土交通省

つまり、会社としては、公共工事の入札の際に有利になるように、経営事項審査の評価点を上げる必要があるわけです。その評価点を決める要素の一つが「客観的事項」であり、会社の資金状況直近の工事の入札履歴等などが主な考慮要素です。

この「客観的事項」の要素の一つに、企業内の建設業経理士の人数」が含まれています。企業内に建設業経理士の人数が多ければ多いほど、高い評価を受けることが出来ます。

なお、考慮要素となるのは建設業経理士の「人数」だけであり、「建設業経理士としての実務経験は問われません。

つまり、試験に合格して建設業経理士の資格を有しているだけで、社内で評価されます。そのため、建設業界では特に重宝される資格です。

建設業経理士資格は建設業界でのスキルアップや転職を目指すにあたりとてもメリットがあるといえます。

※「建設業経理士」と「建設業経理事務士」は違う資格

なお、建設業経理検定には1級~4級があります。1級または2級に合格すると「建設業経理士」3級または4級に合格すると「建設業経理事務士」となることができます。

経営事項審査の際に評価されるのは「建設業経理士」です。「建設業経理事務士」は評価されませんので、なるべく1級または2級を合格を目指しましょう。

なお、1級建設業経理士の方が、2級建設業経理士よりも経営事項審査時に高い評価を受けます。(経営事項審査の指標だけでいえは、1級建設業経理士は公認会計士と同じ価値があります。)1級は2級よりも難易度は高いですが、その分価値も高いです。

転職やスキルアップで有利になるのは、「1級」または「2級」の合格者です。その中でも、1級の難易度が高いため「1級」合格者がより有利になります。

建設業経理検定試験について

以下、建設業経理検定試験の詳細をまとめました。

試験日上期:9月2週目の日曜日
下期:3月2週目の日曜日

※1級と2級は上期と下期の年2回実施
 3級と4級は下期のみ年1回実施
受験地上期:全国47地区(各都道府県1会場)
下期:全国51地区(各都道府県1会場+北海道3会場+長野県1会場
受験料1級(1科目):8,120円
1級(2科目同時受験):11,420円
1級(3科目同時受験):14,720円
2級:7,120円
3級:5,820円
4級:4,720円
2級と3級併願:12,620円
3級と4級併願:10,220円
受験資格特になし

1級のみ3科目あります。各科目の合格は、合格通知書の交付日から5年間有効です。
つまり、1級建設業経理士を目指す場合、最初の1科目にしてから5年(10回の試験)以内に、残りの2科目に合格する必要があります。

合格率(1級〜4級)

過去5年分1級・2級10回分3級・4級は過去5回分)の合格率を、級ごとにまとめました。

1級(財務諸表、財務分析、原価計算)・2級

1級(財務諸表)受験者数合格者数合格率
第25回(平成31年 3月10日実施)1,61239324.4%
第26回(令和元年 9月8日実施)1,51731120.5%
第27回(令和2年 9月13日実施)1,69741024.2%
第28回(令和3年 3月14日実施)1,86040821.9%
第29回(令和3年 9月12日実施)1,72848127.8%
第30回(令和4年 3月13日実施)1,80536820.4%
第31回(令和4年 9月11日実施)1,68735721.2%
第32回(令和5年 3月12日実施)1,59634821.8%
第33回(令和5年 9月10日実施)1,42556139.4%
第34回(令和6年 3月13日実施)1,34949736.8%

財務諸表の合格率は概ね20%強程度で推移しておりますが、近年は35%以上の高い合格率が続いています。

1級(財務分析)受験者数合格者数合格率
第25回(平成31年 3月10日実施)1,36136226.6%
第26回(令和元年 9月8日実施)1,27638730.3%
第27回(令和2年 9月13日実施)1,42246432.6%
第28回(令和3年 3月14日実施)1,52331720.8%
第29回(令和3年 9月12日実施)1,459 542 37.1%
第30回(令和4年 3月13日実施)1,42433423.5%
第31回(令和4年 9月11日実施)1,35960544.5%
第32回(令和5年 3月12日実施)1,12524922.1%
第33回(令和5年 9月10日実施)1,22448940.0%
第34回(令和6年 3月13日実施)1,17954045.8%

財務分析の合格率は概ね30%前後で推移しておりますが、近年は40%以上の高い合格率が続いています。合格率は3科目の中で一番高いです。

1級(原価計算)受験者数合格者数合格率
第25回(平成31年 3月10日実施)1,68338923.1%
第26回(令和元年 9月8日実施)1,58025316.0%
第27回(令和2年 9月13日実施)1,79445925.6%
第28回(令和3年 3月14日実施)2,02222611.2%
第29回(令和3年 9月12日実施)2,033 503 24.7%
第30回(令和4年 3月13日実施)1,87622512.0%
第31回(令和4年 9月11日実施)1,86928515.2%
第32回(令和5年 3月12日実施)1,71937321.7%
第33回(令和5年 9月10日実施)1,47829620.0%
第34回(令和6年 3月13日実施)1,63032820.1%

原価計算の合格率は概ね20%前後で推移しており、3科目の中で一番低いです。

2級受験者数合格者数合格率
第25回(平成31年 3月10日実施)8,6232,65530.8%
第26回(令和元年 9月8日実施)8,6353,57841.4%
第27回(令和2年 9月13日実施)10,0996,30862.5%
第28回(令和3年 3月14日実施)8,7663,60041.1%
第29回(令和3年 9月12日実施)9,318 3,678 39.5%
第30回(令和4年 3月13日実施)9,2884,16344.8%
第31回(令和4年 9月11日実施)8,8472,99333.8%
第32回(令和5年 3月12日実施)9,6363,41135.4%
第33回(令和5年 9月10日実施)8,9853,79642.2%
第34回(令和6年 3月10日実施)8,9204,25547.7%

2級は、合格率は概ね40%前後です。(第27回試験のみ合格率が62.5%と極端に上がっていますが、コロナの影響により令和2年3月試験が中止となったことで、受験生が勉強時間を十分確保できたことが理由と思われます。)

3級・4級

3級受験者数合格者数合格率
第38回(平成31年 3月10日実施)1,8961,21964.3%
第39回(令和3年 3月14日実施)2,2771,60470.4%
第40回(令和4年 3月13日実施)2,0101,17158.3%
第41回(令和5年 3月12日実施)1,8451,22966.6%
第42回(令和6年 3月10日実施)1,7351,13365.3%

3級は、合格率は概ね65%前後です。

4級受験者数合格者数合格率
第38回(平成31年 3月10日実施)16312878.5%
第39回(令和3年 3月14日実施)18516086.5%
第40回(令和4年 3月13日実施)18514477.8%
第41回(令和5年 3月12日実施)18313875.4%
第42回(令和6年 3月10日実施)16312979.1%

4級は、合格率は概ね80%前後です。
(※第39回試験のみ合格率が極端に高いですが、上述の通りコロナの影響によるものと思われます。)

試験の難易度

一般的に難関資格と呼ばれるものは「合格率1桁~10%台」のものが多いですが、建設業経理検定は1級でも約25%にとどまっており、比較的難易度は高くない試験といえます。

そのため、上述したメリットを踏まえると、非常に「コスパ」の良い試験と感じています。

※なお、私は2019年9月試験で1級の3科目全てに合格することが出来ました。
合格体験記は↓に掲載しておりますので、こちらも併せてご覧ください。

まとめ|建設業界志望者にはメリットの多い資格です。

はい、いかがでしたでしょうか。

上記の通り、建設業界では重宝される資格ですので、取得のメリットは大きいです。

建設業界を志望している方はぜひ取得と検討してみて下さい!

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