【記述式採点基準】2020年合格者の再現解答を元に設問別の部分点を検証【行政書士】

どうもみなさんこんにちは、Flybirdです。

行政書士試験に合格する上で欠かせないのが、全体の20%を占め記述式で高得点を取ることです。

行政書士試験の試験問題と解答(記述式含む)はサイトに公開されますが、記述式の部分点や採点基準は公開されません。そのため、どの程度書ければ点数が取れるのか?部分点はどのくらいなのか?さじ加減が気になる方も多いと思います。

私は、2020年の行政書士試験に合格することができました。記述式は60点中42点獲得できました。

そこで、合格者である私が、記述式の採点基準や部分点について、2020年度試験で私が書いた答案、模範解答や出題者の趣旨等を予測しながら解説します。記述式対策を行う上で、みなさんの参考になりますと幸いです。

目次

問題44 予想獲得得点

問題・解答例

問題

A県内の一定区域において、土地区画整理事業(これを「本件事業」という。)が計画された。それを施行するため、土地区画整理法に基づくA県知事の認可(これを「本件認可処分」という。)を受けて、土地区画整理組合(これを「本件組合」という。)が設立され、あわせて本件事業にかかる事業計画も確定された。これを受けて本件事業が施行され、工事の完了などを経て、最終的に、本件組合は、換地処分(これを「本件換地処分」という。)を行った。
Xは、本件事業の区域内の宅地につき所有権を有し、本件組合の組合員であるところ、本件換地処分は換地の配分につき違法なものであるとして、その取消しの訴えを提起しようと考えたが、同訴訟の出訴期間がすでに経過していることが判明した。
この時点において、本件換地処分の効力を争い、換地のやり直しを求めるため、Xは、誰を被告としてどのような行為を対象とするどのような訴訟(行政事件訴訟法に定められている抗告訴訟に限る。)を提起すべきか。40 字程度で記述しなさい。

行政書士試験研究センター

解答例

本件組合を被告として、本件換地処分を対象とする無効の確認を求める訴えを提起する。(40字)

私の解答

「Xは、本件組合を被告として、換地の配分行為の無効等確認の訴えを提起すべき。」(37文字)

予想得点・ポイント解説

私の解答の予想得点

12/20点

理由・ポイント

元ネタはS62.4.17最高裁判決ですね。
この問題は、設問にヒントが掲載されているので、得点基準が見えやすいですね。

ポイントは上記の問題で黄色の下線を引いた、以下の部分です。

  • 誰を被告として
  • どのような行為を対象とする
  • どのような訴訟を提起すべきか

誘導がありますので、この3点について、それぞれ適切に解答することが求められていると思われます。

私の考える本設問の採点基準は↓です。

  • 誰を被告として         → 6点分
  • どのような行為を対象とする   → 6点分
  • どのような訴訟を提起すべきか  → 8点分

以上採点基準に基づく、私の得点割合予想は↓の通りです。

  • 誰を被告として         → 6点獲得 おそらく満点
  • どのような行為を対象とする   → 0点   勘違いしていました。
  • どのような訴訟を提起すべきか  → 6点獲得 若干解答がずれている。

問題45 予想獲得得点

問題・解答例

問題

Aは、Bとの間で、A所有の甲土地をBに売却する旨の契約(以下、「本件契約」という。)を締結したが、Aが本件契約を締結するに至ったのは、平素からAに恨みをもっているCが、Aに対し、甲土地の地中には戦時中に軍隊によって爆弾が埋められており、いつ爆発するかわからないといった嘘の事実を述べたことによる。Aは、その爆弾が埋められている事実をBに伝えた上で、甲土地を時価の 2 分
の 1 程度でBに売却した。売買から 1 年後に、Cに騙されたことを知ったAは、本件契約に係る意思表示を取り消すことができるか。民法の規定に照らし、40 字程度で記述しなさい。なお、記述にあたっては、「本件契約に係るAの意思表示」を「契約」と表記すること。

解答例

Bが詐欺の事実を知り又は知ることができたときに限り、A は 、契約を取り消すことができる。

私の解答

「Aは、BがCによる詐欺の事実を知り、または知ることができた時に限り、契約を取り消せる。」(43文字)

予想得点・ポイント解説

私の回答の予想得点

20/20点

理由・ポイント

これは民法96条2項が暗記できているか、を問う問題でしたね。
私はなぜか96条2項は丸暗記できていたので、簡単に解答できました。おそらく満点ではないかと思います。

問題文には明確には記載されてないですが、ポイントは以下の2つに分けられます。

  • 要件部分:「Bが詐欺の事実を知っていた場合又は知ることが出来た場合」 → 15点分
  • 結論部分:「取り消すことが出来る」                  → 5点分

なお、要件の部分は「悪意」または「過失」と記載した場合は、部分点しかつかないのではないかと思います。なぜなら、条文に即していないからです。(「悪意」という文言を使っている他の民法の条文はあるが、96条2項には悪意という文言をを用いていない。)その場合、15点中12点程度、となるのではないかと思います。

なお、本年の試験では、詐欺ではなく錯誤に関して記載した方も多かったようですが、点数はほぼ0点なのでは?と思います。

問題46 予想獲得得点

問題・解答例

問題

[設例]
A所有の甲不動産をBが買い受けたが登記未了であったところ、その事実を知ったCが日頃Bに対して抱いていた怨恨(えんこん)の情を晴らすため、AをそそのかしてもっぱらBを害する目的で甲不動産を二重にCに売却させ、Cは、登記を了した後、これをDに転売して移転登記を完了した。Bは、Dに対して甲不動産の取得を主張することができるか。
[判例の解説]
上記[設例]におけるCはいわゆる背信的悪意者に該当するが、判例はかかる背信的悪意者からの転得者Dについて、無権利者からの譲受人ではなくD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、甲不動産の取得をもってBに対抗しうるとしている。
上記の[設例]について、上記の[判例の解説]の説明は、どのような理由に基づくものか。「背信的悪意者は」に続けて、背信的悪意者の意義をふまえつつDへの譲渡人Cが無権利者でない理由を、40 字程度で記述しなさい。

解答例

(背信的悪意者は、)信義則上登記の欠缺を主張する正当な利益を有しない者であって、AC間の売買は有効であるから。(45字)

私の解答

(背信的悪意者は、) 「登記の欠缺を主張する正当な利益を有しないが、自らの権利の取得自体は制限されないから。」(42文字)

予想得点・ポイント解説・雑感

予想得点

配点予想 10/20点

解説

元ネタはH8.10.29判例だと思われます。

この問題も誘導があるため、採点基準はある程度予想できますが、理由に関しては判例中にも明確に示されていないため、理由部分の解答例は、あくまでも参考程度に、ということだと思います。

個人的には、解答例も正しくないようにも思います。

配点割合は↓の通りかと思います。

  • 背信的悪者者の定義:「信義則上登記の欠缺を主張する正当な利益を有しない者」→10点分
  • 結理由付け部分  :「AC間の売買は有効」                 →10点分

以上採点基準に基づく、私の得点割合予想は↓の通りです。

  • 背信的悪意者 → 7/10点獲得 「信義則上」という言葉が抜けているため。
  • 理由付け部分 → 3/10点獲得 若干ずれているため。

採点基準はそこまで厳しくない?ただ、問題文に誘導がある場合は、それに乗っかりましょう。

はい、いかがでしたでしょうか。
あくまでも私が考える採点基準の下で検討しましたので、実際の採点基準とは異なっているかもしれませんが、記載しなければならない内容はある程度決まっているのではないかと思います。

採点基準が不明瞭な部分がありますが、この設問では何が問われているのか?を意識しつつ解答するのがポイントです。(それだけで部分点が貰える可能性もあります。)
特に問44と問46は問題文に誘導があるので、誘導には上手く乗っかりましょう。

部分点が貰える可能性もあるので、記述式で全く分からない問題が出題されても、白紙答案だけは避けましょう。

なお、基本的に記述式は条文・判例からメインに出題されます。
出題傾向を踏まえた、私がおすすめする記述式対策を↓の記事で紹介しておりますので、こちらも併せてご覧ください。

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