【行政事件訴訟法・条文編】出題傾向・抑えるべき条文を解説【5分で解説シリーズ】

どうもみなさんこんにちは、Flybirdです。

今回は、行政書士試験の中の、行政事件訴訟法のポイント解説となります。

行政事件訴訟法も、毎年必ず3問出題されます。行政事件訴訟法の問題も比較的難易度が高くないので、出来れば満点を目指したいところです。

そこで、以下、行政訴訟法の押さえるべきポイントについて解説していきます!

目次

前提:行政事件訴訟法では、「条文」と「判例」どちらも問われる。

行政事件訴訟法は、「条文」と「判例」をどちらも大事になります。

条文は、「訴訟の種類」「各訴訟(メインは取消訴訟)の訴訟要件」「準用条文」の3つ、
判例では、「処分性」「原告適格」「訴えの利益」の3つがポイントです。

このうち、行政事件訴訟法の押さえるべき「条文」について、本記事で解説します。
(判例に関する記事は別途作成します。)

ポイント①:行政訴訟の種類・訴訟要件を整理しましょう。

行政訴訟法に規定されている訴訟の種類、及びそれを体系的に整理したものが、以下の表になります。

行政事件訴訟の種類(2条)各訴訟の内訳(各項)訴訟要件・手続等
主観訴訟抗告訴訟(3条1項)処分取消訴訟(3条2項)9条~35条
裁決取消訴訟(3項3項)9条~35条
無効等確認訴訟(3条4項)36条
不作為の違法確認訴訟(3条5項)37条
非申請型義務付訴訟(3条6項1号)
申請型義務付訴訟(3条6項2号)
37条の2
37条の3
差止訴訟(3条7項)37条の4
当事者訴訟(4条)形式的当事者訴訟(4条前段)39条~41条
実質的当事者訴訟(4条後段)40条~41条
客観訴訟民衆訴訟(5条)42,43条
機関訴訟(6条)42,43条

この表の内容を覚えてください。
行政事件訴訟法は全部で46条ありますが、以上の表を覚えると、何となく行政事件訴訟法の全体の条文構造が分かってくるのではないかと思います。

行政事件の4つの種類

2条によると、「行政事件訴訟」の大きいくくりとして、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟が規定されています。

(なお、抗告訴訟と当事者訴訟は「主観訴訟」、民衆訴訟と機関訴訟はそれぞれ「客観訴訟」に区分されます。
主観訴訟は、個人の権利利益の救済を目的とし、自分自身に直接関係する行政活動に対する訴訟を指し、客観訴訟は、行政の適法性の確保を目的とし、自分には直接関係ない行政活動に対する訴訟を指します。)

「抗告訴訟」と「当事者訴訟」の各種類(3条各項、4条各項)

それを受けて、3条・4条にて、抗告訴訟と当事者訴訟の訴訟種類が規定されています。
大事なのは、「抗告訴訟」の中身でしょうね。たくさん種類がありますので、覚えるようにしてください。
(特段暗記していなくても、学習を進めていると自然に覚えてきますので大丈夫です。(笑))

各訴訟の訴訟要件

各訴訟の訴訟要件(原告適格など)が、9条以下に規定されております。

条文構造がややこしいですが、まずは取消訴訟に着目して、の他の訴訟で取消訴訟の訴訟要件や手続が被る部分は、適宜準用する。という形式になってます。

条文構造を押さえ、各訴訟の種類・訴訟要件を理解。

この条文構造を理解したうえで、各訴訟の種類・訴訟要件を頭に叩き込みましょう。

ポイント②:取消訴訟をベースに、訴訟要件その他手続を理解せよ。

前述の通り、行政事件訴訟法の中で基本的(?)な訴訟類型が、「取消訴訟」です。
そこで、まずは取消訴訟の訴訟要件その他手続について理解しておきましょう。

訴訟要件

取消訴訟の中で、訴訟要件として挙げられているものは、以下の5つです。

  • 処分性(3条1項)
  • 原告適格・訴えの利益(9,10条)
  • 被告適格(11条)
  • 管轄(12(,13)条)
  • 出訴期間(14条)

上の中で、特に大事なのが、処分性原告適格出訴期間です。
ですが、「処分性」と「原告適格」は判例から出されることが多いので、条文として大事なのは「出訴期間」となります。

(出訴期間)第十四条

取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
 取消訴訟は、処分又は裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
 処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合において、審査請求があつたときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、前二項の規定にかかわらず、これに対する裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したとき又は当該裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

e-Gov法令検索

この14条は暗記しましょう。(重要な箇所はマークしたつもりです。)

なお、出訴期間は行政不服審査法と比較して出題されるので、違いを意識して覚えましょう。(特に、起算点と期間

訴訟手続・執行停止・判決の効力など

、残りの手続・効力の部分を覚えてください。移送や、執行停止、請求の併合、判決の効力を理解してください。

  • 訴訟形態(16条~23条)
  • 執行停止(25条~29条)
  • 判決の取消・その効力(30条~35条)

行政事件訴訟法は条文が少ないので、上記3つは全部大事ですが、あえて重要度を順序付けると、「執行停止」→「判決の取消、その効力」→「訴訟形態」です。

(執行停止)第二十五条
処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力処分の執行又は手続の続行を妨げない。
 処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。
 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
 執行停止は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、することができない。
 第二項の決定は、疎明に基づいてする。
 第二項の決定は、口頭弁論を経ないですることができる。ただし、あらかじめ、当事者の意見をきかなければならない。
 第二項の申立てに対する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
 第二項の決定に対する即時抗告は、その決定の執行を停止する効力を有しない。

特に大事なのが25条ですので、暗記しましょう。(同じくマーク付けました。)

執行停止は、出訴期間と同じく、行政不服審査法との比較が問われる場合があるので、それも意識して学習しましょう。(要件が若干異なってます。)

ポイント③:その他抗告訴訟の訴訟要件・準用条文を理解せよ。

その他の抗告訴訟の訴訟要件は、上記の通り36条以降に記載されております。

上記の取消訴訟の条文を準用している構造となっておりますので、各訴訟の訴訟要件準用条文を理解しましょう。
なお、抗告訴訟の準用文である38条、当事者訴訟の準用条文である41条、民事訴訟及び機関訴訟の準用条文である43条はかなり大事な条文なので、引用します。

(取消訴訟に関する規定の準用)第三十八条
第十一条から第十三条まで、第十六条から第十九条まで、第二十一条から第二十三条まで、第二十四条、第三十三条及び第三十五条の規定は、取消訴訟以外の抗告訴訟について準用する。
 第十条第二項の規定は、処分の無効等確認の訴えその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟とを提起することができる場合に、第二十条の規定は、処分の無効等確認の訴えをその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟に併合して提起する場合に準用する。
 第二十三条の二、第二十五条から第二十九条まで及び第三十二条第二項の規定は、無効等確認の訴えについて準用する。
 第八条及び第十条第二項の規定は、不作為の違法確認の訴えに準用する。

(抗告訴訟に関する規定の準用)第四十一条
第二十三条、第二十四条、第三十三条第一項及び第三十五条の規定は当事者訴訟について、第二十三条の二の規定は当事者訴訟における処分又は裁決の理由を明らかにする資料の提出について準用する。
 第十三条の規定は、当事者訴訟その目的たる請求と関連請求の関係にある請求に係る訴訟とが各別の裁判所に係属する場合における移送に、第十六条から第十九条までの規定は、これらの訴えの併合について準用する。

(抗告訴訟又は当事者訴訟に関する規定の準用)第四十三条
民衆訴訟又は機関訴訟で、処分又は裁決の取消しを求めるものについては、第九条及び第十条第一項の規定を除き取消訴訟に関する規定を準用する。
 民衆訴訟又は機関訴訟で、処分又は裁決の無効の確認を求めるものについては、第三十六条の規定を除き無効等確認の訴えに関する規定を準用する。
 民衆訴訟又は機関訴訟で、前二項に規定する訴訟以外のものについては、第三十九条及び第四十条第一項の規定を除き当事者訴訟に関する規定を準用する。

上記で記載している条文を参照していただき、具体的にどのような条文を引用しているか、確認してみてください。

以下、取消訴訟以外の訴訟の訴訟要件準用条文をまとめたものです。

  • 無効確認訴訟:36条にて原告適格を規定。
           準用条文は38条1項,2項,3項
  • 不作為の違法確認訴訟:37条にて原告適格を規定。
               準用条文は38条1項、38条4項
  • 非申請型義務付け訴訟:37条の2にて訴訟要件原告適格)を規定。
               準用条文は38条1項。
  • 申請型義務付け訴訟:37条の3にて訴訟要件原告適格)を規定。
              準用条文は38条1項。
  • 差止め訴訟:37条の4にて訴訟要件原告適格)を規定。
          準用条文は38条1項。
  • (なお、仮の義務付け及び仮の差し止めも規定されております。
     ※いわば執行停止の特則のようなもの。)
    37条の5 1項~3項にて要件を規定。
    準用条文は37条の5 4項。(主に執行停止の準用です。)
  • 当事者訴訟:39条,40条にて手続を規定。
          準用条文は41条。
  • 民衆訴訟及び機関訴訟:42条にて原告適格を規定。
          準用条文は43条。取消訴訟、無効訴訟、当事者訴訟の3種類に分類して準用

かなり簡単に書きましたが、この理解が一番難しいです。
条文を行ったり来たりして、根気強く覚えましょう。

まとめ:行政事件訴訟は、暗記すべき条文はすくない。まずは全体の条文構造の理解から!

はい、いかがでしたでしょうか。

行政事件訴訟法は、とにかく各訴訟の訴訟要件・手続等を押さえることが大事です。訴訟要件・手続きを押さえるため、全体構造や準用条文の理解が必要となります。

ぜひ本記事の内容を理解して頂き、条文部分は完璧に理解しましょう!

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