どうもみなさんこんにちは、Flybirdです。
本日は、行政不服審査法解説「part2」となります。
※Part1は↓になります。

part1の方では、「審査請求」「再調査の請求」「再審査請求」の3つの請求の要件・請求人・相違点について解説してきました。
本記事では上記内容を発展させて、条文を基に、上記以外の行政不服審査法の重要ポイントを解説していきます。
その中でも「請求期間」「審理手続」「執行停止」「裁決」に絞って解説していこうと思います。
正直part1の内容と、この4つのポイントが理解できていれば、行政書士試験に必要な行政不服審査法の知識は8割方身につくといっても過言ではありません!
以下、それぞれ条文をベースに解説していきます。
請求期間(18条)(54条)(62条)
まず、各請求の審査請求期間を暗記してください。これは条文そのままです。
まずは審査請求から。
(審査請求期間)
第十八条 処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して三月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して一月)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
2 処分についての審査請求は、処分(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定)があった日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
3 略
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次に、再調査請求です。
(再調査の請求期間)
第五十四条 再調査の請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して三月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
2 再調査の請求は、処分があった日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
そして、再審査請求です。
(再審査請求期間)
第六十二条 再審査請求は、原裁決があったことを知った日の翌日から起算して一月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
2 再審査請求は、原裁決があった日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
大事なのは期間(1か月or3か月or1年)と開始起算日(処分(決定)を知った日or 処分(決定)があった日の翌日から)です。例外が「正当な理由があるとき」ですね。
これを正しく整理しておきましょう。
審理手続(28~42条)(61条)(66条)
多いので条文は引用しませんが、大事なのは、「誰が」の部分、いわば主語の部分です。
主に「審理員」「行政庁等」「審査請求人」「参加人」が出てくるので押さえておきましょう。
大体は「審理員」なので、「行政庁等」「審査請求人」「参加人」が問われることが多いですね。(ex)「弁明書」「反論書」「意見書」を提出するのはそれぞれ誰か など。)
執行停止(25条)(61条)(66条)
審査請求の場合の条文が「25条」ですね。
(執行停止)
第二十五条 審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
2 処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(以下「執行停止」という。)をとることができる。
3 処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができる。ただし、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止以外の措置をとることはできない。
4 前二項の規定による審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。
5 審査庁は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
6 第二項から第四項までの場合において、処分の効力の停止は、処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるときは、することができない。
7 執行停止の申立てがあったとき、又は審理員から第四十条に規定する執行停止をすべき旨の意見書が提出されたときは、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。
再調査の請求の場合は、61条にて25条を準用するという形式をとってます。
(審査請求に関する規定の準用)
第六十一条 第九条第四項、第十条から第十六条まで、第十八条第三項、第十九条(第三項並びに第五項第一号及び第二号を除く。)、第二十条、第二十三条、第二十四条、第二十五条(第三項を除く。)、第二十六条、第二十七条、第三十一条(第五項を除く。)、第三十二条(第二項を除く。)、第三十九条、第五十一条及び第五十三条の規定は、再調査の請求について準用する。この場合において、別表第二の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
再審査請求の場合も、66条にて準用してますね。
(審査請求に関する規定の準用)
第六十六条 第二章(第九条第三項、第十八条(第三項を除く。)、第十九条第三項並びに第五項第一号及び第二号、第二十二条、第二十五条第二項、第二十九条(第一項を除く。)、第三十条第一項、第四十一条第二項第一号イ及びロ、第四節、第四十五条から第四十九条まで並びに第五十条第三項を除く。)の規定は、再審査請求について準用する。この場合において、別表第三の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。2 再審査庁が前項において準用する第九条第一項各号に掲げる機関である場合には、前項において準用する第十七条、第四十条、第四十二条及び第五十条第二項の規定は、適用しない。
ちなみにですが、25条に赤字は引いてませんが、全て大事です!(赤字付けると全部になります。)
思考の流れとしては
1項「執行不停止の原則」
→2項,3項「停止の申立or職権で停止できる」
→4項,5項「4要件該当で停止しなければならない」
という流れになります。(6項、7項はおまけで覚えましょう。(笑))
そして、再調査請求の場合は3項以外すべて、再審査請求の場合は2項のみ準用しておりますので、この規定もセットで覚えましょう!
※なお、61条、66条の引用条文もめちゃくちゃ大事です!審査請求の手続きと同様なものは何か、逆に違うものは何か、をセットで覚えましょう!
裁決(45.46条.49条)(58条.59条)(64.65条)
以下、条文を計8つ、引用していきます。
(処分についての審査請求の却下又は棄却)
第四十五条 処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。
2 処分についての審査請求が理由がない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。
3 審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。(処分についての審査請求の認容)
第四十六条 処分(事実上の行為を除く。以下この条及び第四十八条において同じ。)についての審査請求が理由がある場合(前条第三項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできない。2 前項の規定により法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分の全部又は一部を取り消す場合において、次の各号に掲げる審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該各号に定める措置をとる。
一 処分庁の上級行政庁である審査庁 当該処分庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずること。
二 処分庁である審査庁 当該処分をすること。3 前項に規定する一定の処分に関し、第四十三条第一項第一号に規定する議を経るべき旨の定めがある場合において、審査庁が前項各号に定める措置をとるために必要があると認めるときは、審査庁は、当該定めに係る審議会等の議を経ることができる。
4 前項に規定する定めがある場合のほか、第二項に規定する一定の処分に関し、他の法令に関係行政機関との協議の実施その他の手続をとるべき旨の定めがある場合において、審査庁が同項各号に定める措置をとるために必要があると認めるときは、審査庁は、当該手続をとることができる。
(不作為についての審査請求の裁決)
第四十九条 不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。2 不作為についての審査請求が理由がない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。
3 不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言する。この場合において、次の各号に掲げる審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該各号に定める措置をとる。
一 不作為庁の上級行政庁である審査庁 当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずること。
二 不作為庁である審査庁 当該処分をすること。4 審査請求に係る不作為に係る処分に関し、第四十三条第一項第一号に規定する議を経るべき旨の定めがある場合において、審査庁が前項各号に定める措置をとるために必要があると認めるときは、審査庁は、当該定めに係る審議会等の議を経ることができる。
5 前項に規定する定めがある場合のほか、審査請求に係る不作為に係る処分に関し、他の法令に関係行政機関との協議の実施その他の手続をとるべき旨の定めがある場合において、審査庁が第三項各号に定める措置をとるために必要があると認めるときは、審査庁は、当該手続をとることができる。
(再調査の請求の却下又は棄却の決定)
第五十八条 再調査の請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、処分庁は、決定で、当該再調査の請求を却下する。2 再調査の請求が理由がない場合には、処分庁は、決定で、当該再調査の請求を棄却する。
(再調査の請求の認容の決定)
第五十九条 処分(事実上の行為を除く。)についての再調査の請求が理由がある場合には、処分庁は、決定で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。2 事実上の行為についての再調査の請求が理由がある場合には、処分庁は、決定で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更する。
3 処分庁は、前二項の場合において、再調査の請求人の不利益に当該処分又は当該事実上の行為を変更することはできない。
(再審査請求の却下又は棄却の裁決)
第六十四条 再審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を却下する。2 再審査請求が理由がない場合には、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却する。
3 再審査請求に係る原裁決(審査請求を却下し、又は棄却したものに限る。)が違法又は不当である場合において、当該審査請求に係る処分が違法又は不当のいずれでもないときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却する。
4 前項に規定する場合のほか、再審査請求に係る原裁決等が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、再審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、原裁決等を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却することができる。この場合には、再審査庁は、裁決の主文で、当該原裁決等が違法又は不当であることを宣言しなければならない。
(再審査請求の認容の裁決)
第六十五条 原裁決等(事実上の行為を除く。)についての再審査請求が理由がある場合(前条第三項に規定する場合及び同条第四項の規定の適用がある場合を除く。)には、再審査庁は、裁決で、当該原裁決等の全部又は一部を取り消す。2 事実上の行為についての再審査請求が理由がある場合(前条第四項の規定の適用がある場合を除く。)には、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、処分庁に対し、当該事実上の行為の全部又は一部を撤廃すべき旨を命ずる。
引用が長くなりましたが、色を付けた部分にまず注目ください。
お気づき頂けたかもしれませんが、以上の条文はほぼ同じことしか言ってません。(笑)
ある場合の、「処分」「不作為」「事実上の行為」「原裁決」に対する「却下」「棄却」「認容」の「判決」「決定」 のいずれかの組み合わせとなります。
それぞれの請求毎にどのような内容の裁決がなされるか意識しましょう!
まとめ:以上の4つのポイントを、条文をベースに正しく理解しましょう。
いかがでしたでしょうか。こうやって紐解いていくと簡単に理解できるような気がしませんか?
以上の、Part1とPart2の内容をまず確実に理解してください。
その上で、解説しきれなかった周辺知識(行政不服審査会、判決の拘束力 など)を暗記してもらえれば、行政不服審査法は怖くないのではないかと思います。
そのうえで、本番では「3問正解」を目指しましょう!
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